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ぶらり探訪 GNH358

蕎麦

竹やぶ:新しい蕎麦職人の領域を創造した阿部孝雄の系譜

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「自分が思い描いていた通りの、一縷の隙もない完璧なそばを打ち上げることができたと感じた或る日、従来のそば職人の域を超えた新しい領域を創造したいと思った。」阿部孝雄

竹やぶ 阿部孝雄:蕎麦屋を空間芸術化し、プレゼンテーション的な蕎麦料理を確立

「竹やぶ」創業者、阿部孝雄は20歳の時、江戸そばの伝統を受け継ぐ三大暖簾の一つ「薮」の系統である「池之端藪蕎麦」(昭和29年開業)で修業。
1年10ヶ月という短い修行期間でしたが、ここで江戸そばのそば職人としての姿勢を学びました。

修業の後、千葉・柏の駅前にはじめて「竹やぶ」の暖簾を掲げたのは、昭和41年の冬、まだ22歳の時でした。

ここから「竹やぶ」の蕎麦の歴史が刻まれていく、まさに原点となります。

当時、皆無に等しかった手打ちそばの打ち方を田中國安に学び、また、柚子切り、芥子切り、蓬そばをはじめ五百種類以上の変わりそばを創作し、ただひたすらにそば職人としての道を猛進してきました。
一時期、店を閉めた機会を利用して日本各地の旨いそばを訪ね歩いたそうですがそれがかなり勉強になったとか。

そして、自分が思い描いていた通りの、一縷の隙もない完璧なそばを打ち上げることができたと感じた或る日、従来のそば職人の域を超えた新しい領域を創造したいと思ったそうです。

竹やぶの蕎麦は、蕎麦と言う食材が、ここまで香り高く、のど越しを楽しむ滋味あふれる奥の深いものであることを教えてくれ、弟子達が受け継いでいます。

藪蕎麦」とは 藪蕎麦(やぶそば):江戸三大蕎麦 GNH358

竹やぶの歴史

阿部孝雄の経歴
昭和19(1944)年、新潟県中蒲原郡村松町生まれ。
昭和37年(18歳)集団就職で上京。
昭和39年、上野・池の端藪蕎麦に入店し1年10ヵ月修業。

竹やぶ開業
昭和41年12月18日、千葉県・常磐線柏駅前に「竹やぶ」開業。
※5年後、道路拡張のため移転を余儀なくされ1年間休業。

ここで、手打ちを習得しようとして他店に教えを乞うことになります。

「練馬田中屋」で手打ちそば修業

昭和45~46年頃、東京で手打ちそばを出す店としては
「神田まつや」、「無窮庵増音(むきゅうあんますおと)」、「練馬田中屋」、「荻窪 本むら庵」
などごくわずかだったいわれています。

まず手打ち修業先の相談に乗ってもらったのは阿部孝雄が修業時代からお世話になっていた
「無窮庵増音(むきゅうあんますおと)」(東京都江戸川区平井2-25-18:閉店)の店主鈴木啓之。
「そばの歴史を旅する」(2005/10発行、柴田書店)の著者で、そば通のなかでも有名人。

無窮庵増音の鈴木啓之に紹介してもらったのが、「練馬田中屋」の田中國安で、
そこでの手打ちの修業が、竹やぶの系譜につながっていきます。

練馬田中屋 練馬田中屋:伝説の名店創業者 田中國安の偉業

板橋「寿々㐂(すずき)」でうどん打ち修業

練馬田中屋での手打ち修業をしていたときに、修業仲間であった東京・板橋「寿々㐂(すずき)」の主人が、愛知県岡崎市「大正庵」からうどん打ちを伝授されたことがわかりました。
阿部孝雄が食べ歩きで知った絶品“蕎麦屋の 釜揚げうどん”は「大正庵」のものだったという縁で、阿部孝雄は「寿々㐂」に住み込んでうどん打ちを習います。

寿々喜 (すずき)(東京都板橋区志村1-8-3)
※大橋巨泉が日本在住当時、ゴルフ帰りにこの店の手打ちうどんを食べるのが定番だったという情報もあり。

水沢うむどん「始祖 清水屋」を外から観察

阿部孝雄が、うどんでもう一つ参考したと言っているのは、水沢うむどんの「始祖 清水屋」。

打ち方を知りたくて朝の10時から夕方まで店の外で観察したそうで、
竹やぶのうむどんは、清水屋をイメージしながら、寿々㐂の打ち方でうどんを打ち、創られました。

*水沢うむどん「始祖 清水屋」(群馬県渋川市伊香保町水沢204)

昭和46年、柏駅前のビルのワンフロアで営業を再開。
移転開業5年目、昭和51年から石臼による製粉ををはじめていますが、
このときは、挽き割りのそばを買って、自店の石臼で粉にしていました。

昭和57年、自然に囲まれた環境を求め、手賀沼を見下ろす丘へ移転。

移転したのを契機にして、阿倍孝雄は玄そばからの自家製粉に挑戦します。
その後も手挽きの田舎そばなど新たなそばの世界を打ち出して、ニューウェーブの旗手と評判を得るに至ります。

平成5年、「恵比寿竹やぶ」を開店(平成15年3月六本木ヒルズに移転のため閉店)
平成14年、三店目となる「箱根竹やぶ」開店。
平成15年4月、六本木ヒルズに「六本木竹やぶ」開店。(2011年7月閉店)

せいろそば:2018年4月

田舎そば:2018年4月

竹やぶの系譜

現在は長男が「竹やぶ 箱根店」を、次男が「竹やぶ 柏本店」を継いでいます。

*竹やぶ柏本店(千葉県柏市柏1144-2 ) 創業:1967年12月 手打ち蕎麦竹やぶ
*竹やぶ箱根店(神奈川県足柄下郡箱根町元箱根160-80)手打ち蕎麦竹やぶ箱根店

【開業から移転前までの修業者】

*志奈乃(柏市中央町7-16)
*蓬庵(千葉県我孫子市南青山32-3)
*夫婦庵(茨城県土浦市上高津750-4)
*千寿 竹やぶ(東京都足立区千住河原町7-12) 親子2代が竹やぶで修業
*かみ六(三重県名張市中町348)

【柏駅前ビル店時代の修業者】

*あや竹(千葉県白井市復1457-2)※店主は、元ららぽーと船橋竹やぶ支店店長
*春風荘(愛知県名古屋市中区千代田3-31-20 千代田セントラルビル 1F)
*吟八亭やざ和(東京都葛飾区亀有1-27-8)開業1976年

【手賀沼を一望する小高い丘の上移転以降の修業者】

*鬼怒川竹やぶ(茨城県守谷市板戸井1917-1)
*三合庵(東京都港区白金5-10-10 白金510 1F)
*蕎竹庵 すぎはら(神奈川県相模原市緑区原宿南1-6-2 )
*織田(東京都世田谷区奥沢3-31-3 ) ※現在は経営譲渡
*しもばしら(青森市浜田2-14-4)
*じゆうさん(東京都中野区江原町3-1-4)長寿庵の三代目が2005年にリニューアルして開店 じゆうさん:粋な蕎麦前と蕎麦の香りや味を愉しむ蕎麦屋時間
*手造りそば 打墨庵 加瀬 (うっつみあん) (千葉県鴨川市打墨2329-1)開業2009年11月18日
*季より(茨城県牛久市牛久町15-2)開業2010年4月3日
*玉笑(東京都渋谷区神宮前5-23-3)開業2011年7月6日
玉笑(たまわらい):蕎麦作りへの情熱が生む粗挽きせいろ
*東白庵かりべ(東京都新宿区若宮町11-7)開業2011年9月16日
*こねり庵(東京都練馬区下石神井6-41-30)開業2014年1月8日

参考資料

出典
*一茶庵手打ちそば・うどん教室>片倉英統のブログ>そば「たなか」

書籍
『そば「竹やぶ」名人の真髄 江戸前を極める』

 

『竹やぶ:新しい蕎麦職人の領域を創造・阿部孝雄 GNH358』
初稿:2016年4月4日
最新更新日:2018年10月27日

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