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ぶらり探訪 GNH358

蕎麦

一茶庵:江戸蕎麦の伝統を復活させた新系譜

更新日:

一茶庵の創始者片倉康雄(友蕎子)は、現代の手打ち蕎麦屋隆盛の基礎を築いたその人

片倉康雄(友蕎子)は、「近代蕎麦の始祖」とも、「蕎麦聖」「蕎麦の神様」とも呼ばれました

蕎麦の老舗は、砂場(1584年:大坂)、長寿庵(1704年:江戸)、藪(1735年:江戸)、更級(1789年:江戸)の順に創業しています。
※砂場の江戸進出年は、定かではありません。
砂場蕎麦(すなばそば):江戸三大蕎麦

「一茶庵」は創業年では江戸蕎麦の老舗にはあたりませんが、
江戸蕎麦の伝統は、一茶庵創始者片倉康雄(友蕎子)によって復活したともいわれています。

近代蕎麦の始祖 蕎麦聖 蕎麦の神様

「近代蕎麦の始祖」「蕎麦聖」「蕎麦の神様」とも呼ばれた片倉康雄。

創業は、1926年(大正15年)東京・新宿。その後、1933年(昭和8年)東京・大森へ移転。
1954年(昭和29年)に、一茶庵足利本店(栃木県足利市)として再開して以来、
「あの蕎麦をまた食べたい」というファンのみならず、
蕎麦打ちの教えを請う「足利詣で」が始まり、
技の伝承について職人にありがちな偏狭さがない友蕎子の教えを受けた人たちが全国に良質の蕎麦を広めることになります。

「一茶庵」直系店、系列店合わせ、現在でも国内に700人を超える弟子や孫弟子達が「一茶庵」の味を広めているそうです。

手打ち蕎麦と蕎麦屋の新しい店舗運営の先駆けとなった系譜をたどると、
さらなる蕎麦文化が継承を紐解くことができます。

一茶庵の歴史>片倉康雄・年譜、一茶庵の系譜>一茶庵の物語は、
一茶庵本店ホームページをご覧いただくのが良いでしょうが、
ここでも「一茶庵の歴史」「一茶庵の系譜」を紹介させていただきます。
一茶庵

一茶庵の歴史

詳細は、一茶庵の歴史をご覧いただくとして、
その中で特筆すべき事項は・・・

新宿に開店数年後、そばにとろろの汁をかけた「そばとろ」が学生の間で大評判となり、後に一茶庵の名物となったといわれています。

また、昭和の初め頃、文筆家でそば愛好家の高岸拓川の勧めで東京滝川中里の手打ちの名人といわれた「日月庵やぶ忠」の村瀬忠太郎のもとに通い手打ちを志しました。

村瀬忠太郎 蕎麦通の著者
村瀬忠太郎は、「名人やぶ忠」といわれた東京滝川中里(北区滝野川町中里)にあった手打ちそば屋「日月庵やぶ忠」の主人。
安政6年(1858)~昭和13年(1938)。父は美濃大垣藩の武士であったが浪々の後、江戸で美濃屋というそば屋を始めた。
忠太郎の代になって「日月庵やぶ忠」を始め、昭和初期には「名人やぶ忠」と称された。
村瀬忠太郎の口述による「蕎麦通」の初版本は昭和5年に発行されている。
後に、そば打ちの指導に貢献した片倉康雄(足利 一茶庵)、高井吉蔵(山形 萬盛庵)は一時期やぶ忠で修行したという。
出典:そば用語辞典<村瀬忠太郎

一茶庵の系譜

※一茶庵本店ホームページ掲載の「一茶庵・系譜」情報に、店の所在地、創業・閉店年、その店主の弟子の店などを追記してあります。

一茶庵・系譜

一茶庵 創始者 友蕎子 片倉康雄―①、⑤へ

一茶庵 足利本店(栃木県足利市柳原町861-11)【創業大正15年】

(二代目)長男 片倉敏雄

(三代目)庸光
———崇博

ー①:一茶庵 片倉家親族 店舗

*一茶庵桐生店(次女 片倉布美子)【創業昭和39年】―②へ
※2013年(平成25年)3月末閉店
*西神田一茶庵(三男 片倉英晴)【創業昭和36年】―③へ
※1985年(昭和60年)閉店
*一茶庵宇都宮店(三女 片倉玉恵):栃木県宇都宮市下戸祭2-12-1【創業昭和44年】―④へ
*一茶庵加須店 義弟 栗田正 ※閉店
*一茶庵太田店 甥 片倉清一 :群馬県太田市飯田町1192
*一茶庵越谷店        :埼玉県越谷市赤山町2-68-3
*一茶庵横浜元町店 片倉英統(英晴長男)【創業2003年(平成15年)】
※2013年(平成25年)10月9日閉店
――株式会社一茶庵 代表取締役 片倉英統 一茶庵手打ちそば・うどん教室

→和邑(東京都豊島区雑司が谷3-12-3 川戸ビル1F)
和邑(わむら)-雑司が谷:蕎麦前と蕎麦四色 家庭的な割烹風蕎麦屋

―②【一茶庵桐生店にて修業後開店】

*源【創業昭和47年】
*笠間一茶庵
*勝浦一茶庵

ー③【一茶庵西神田にて修業後開店】

*鎌倉一茶庵【創業昭和39年】※閉店
*九段一茶庵 ※2016年(平成28年)12月29日閉店

→土家(東京都東村山市野口町4-18-1)【創業2008年(平成20年)8月】
土家-東村山:新たな蕎麦屋の時代に創り上げた蕎麦と料理の融合
*市川一茶庵【創業昭和36年】※2017年(平成29年)8月27日閉店ー⑥へ

ー④【一茶庵宇都宮店にて修業後開店】

*庵【創業昭和54年】

高橋邦弘 翁(東京都豊島区南長崎1-3-4)【創業昭和50年】※昭和60年7月閉店
→(山梨県北杜市長坂町中丸2205)【昭和61年4月】開店
翁達磨:自家製粉手打ち蕎麦名人高橋邦弘の系譜
*いけや(群馬県渋川市伊香保町伊香保378-1)【創業昭和52年】
*仙良奄(神奈川県横浜市中区山元町3-145)【創業昭和50年】

ー⑤【一茶庵足利本店にて修業後開店】
*丸富(長野県駒ヶ根市赤穂23-180)【創業昭和28年】(3代目が修行)
*上杉(東京都武蔵野市御殿山1-3-7)【創業昭和52年】
*一栄(東京都豊島区東池袋3-9-5 森田ビル 1F)【創業昭和51年】
→→弟子の店 手打そば 一榮(東京都杉並区阿佐谷北1-36-3横川ビル1F)
*凡味そばきり(群馬県高崎市問屋町西1-8-6)【創業昭和49年】
*栄ごん(千葉県浦安市猫実1-21-36)【創業昭和52年】
*八重車(宮城県仙台市青葉区二日町15-15)【創業平成元年】※閉店
*八兵衛【創業平成元年】(静岡県藤枝市岡出山2-9-27・静岡市駿河区小黒1-7-14 ドミ-ルビル1F)蕎麦屋八兵衛
*竹之家(神奈川県鎌倉市大町4-3-2)【創業昭和52年】※2010年(平成22年)末閉店
*一期一会(群馬県高崎市吉井町池2062-1)【創業昭和54年】
*田久本店(埼玉県熊谷市妻沼1475)【創業昭和52年】※閉店
*山本庵(栃木県栃木市都賀町家中6125-4)【創業昭和54年】
*花房庵(埼玉県深谷市本田5428-18)
*桃李庵そばの実(栃木県宇都宮市御幸本町4870-36)
*風花亭(北海道北見市本町5-2-1)【創業平成13年】
*堂賀(兵庫県神戸市中央区加納町3-4-10)【創業昭和51年】
※2018年7月現在食べログ掲載保留状態
*傘亭(東京都新宿区高田馬場3-33-5)【創業昭和61年】
※2018年7月現在食べログ掲載保留状態
*遊蕎(埼玉県日高市大字鹿山303-8)そば茶房 遊蕎

ー⑤【暖簾分け】
*行田一茶庵(埼玉県行田市栄町16-7)【暖簾分け昭和41年】
*浦和一茶庵【暖簾分け昭和42年】※下記「禅味会」参照
*柏一茶庵【畷簾分け昭和43年】※下記「禅味会」参照
*一茶庵かしはや店【創業明明治42年】○代目が修業【畷簾分け年不明】

友蕎子に師事

『日本蕎麦大学講座』
小池重雄 こいけ(埼玉県秩父市野坂町2-14-34)【創業昭和47年】※2016年9月閉店
2018年3月3日埼玉新聞 秩父で閉店したそば名店の店主が技術伝授

*村屋東亭(茨城県鉾田市安房1418)【村屋=創業大正2年】(3代目が修行)

『片倉友蕎子蕎麦教室』
*車屋(東京都八王子市越野3-10)【創業昭和47年】
車家-京王堀之内:会津の古民家を移築再生した空間で味わう五種のそば
→→車屋で修業後開業:蕎麦料理 すみや(埼玉県入間郡毛呂山町大類604-5)
*蕎亭 仙味洞(東京都世田谷区千歳台3-9-5)【創業昭和55年】
*伊豫(東京都羽村市小作台1-6-12)【創業昭和50年】
*徳兵衛(東京都八王子市大和田町4-15-6)【創業昭和56年】
*㐂峰庵(神奈川県相模原市中央区宮下本町3-40-5)【創業昭和57年】蕎亭 喜峰庵
*やまじん(埼玉県入間市豊岡1-5-36)【創業昭和52年】
*梅乃里(埼玉県入間郡越生町大字津久根208)【創業平成2年】
*蕎亭 大黒屋(東京都台東区浅草4-39-2)創業昭和52年】
*天祥庵(山梨県南都留郡忍野村忍草2848-2)【創業昭和48年】天祥庵

最後のまな弟子の店
*蕎遊庵(栃木県足利市西宮町2549)【通年営業開始:平成19年7月】蕎遊庵

 

ー⑥市川一茶庵系「禅味会」

「禅味会」とは、 「足利一茶庵総本店」の片倉康雄氏に師事し、「市川一茶庵」を開業した山寺芳男氏と市川一茶庵を師とする姉妹店によって発足した、日本蕎麦の研究会です。
画一的な味のチェーン店ではなく、足利一茶庵総本店、市川一茶庵の伝統を守りながらも、加盟店各店が創意工夫をこらし、それぞれの個性を持った商品つくりで切磋琢磨する、職人達の集まりです。
※「禅味」「浄饌」は禅味会の登録商標です。
出典:禅味会<禅味会とは?
禅味会とは?
*さい藤 (栃木県佐野市富岡町1480)佐野手打そば さい藤
*やまひら (茨城県取手市髙須1056-9)【2014年(平成26年)3月営業再開】
*南浦和 一茶庵(埼玉県さいたま市南区南浦和2-14-8)
*大宮 きくち(埼玉県さいたま市北区盆栽町377-3)【創業1970年(昭和45年)】
*大宮 はすみ (埼玉県さいたま市大宮区桜木町4-894)【創業1972年(昭和47年)】
*利久庵 (埼玉県上尾市上1382-6 )【創業1972年(昭和47年)】
*川越 はすみ(埼玉県川越市小仙波町2-15-10 )手打ちそば 川越はすみ
*すゞ木(埼玉県北本市本宿2-81 )
*だいはち(埼玉県入間郡三芳町北永井852-55 )
*川口 天手古舞 (埼玉県川口市在家町29-35 )
*あら井 (埼玉県北本市高尾3101-6 )
*上尾 天手古舞(埼玉県上尾市中妻4-16-4 )
*なかむら(埼玉県越谷市東越谷5-12-15 )
*馬力屋 (埼玉県鴻巣市滝馬室946 )
*はら(埼玉県坂戸市千代田3-18-19 )
*山禅(東京都練馬区桜台6-27-6)【創業1982年(昭和57年)】
*市川 一茶庵 (千葉県市川市南八幡3-5-16 )※2017年(平成29年)8月27日閉店
*柏 一茶庵(千葉県柏市末広町1-1 柏高島屋ステーションモール S館7階)
【創業昭和43年】柏 一茶庵 (カシワ イッサアン)
*くわま(千葉県木更津市長須賀2343-2)
*野田 きくち(千葉県野田市鶴奉15-10)
*刈谷 天手古舞(愛知県刈谷市稲場町6-813 )

一茶庵の物語

「そば打ち名人」と呼ばれた、一茶庵の創始者片倉康雄は、
明治三十七年(1904年)埼玉県北部の利根川に近い、現在の加須の町で生れました。
彼の母は、たいへんおいしいそばを打つので、地元では有名でした。
その「毛のように細いそば」が、少年時代の康雄は大好きでした。
その味わいを自分の手で実現させたくて、みずから、そば打ちになりました。

それは大正十五年(1926年)二月三日のことです。
片倉康雄は二十二歳。
有能な会計士の職を捨てて、現在の新宿駅前に「一茶庵」を開業しました。
誰にも学ばず、ただただ自分の舌に残っている母の「毛のように細いそば」の味を実現しようと、そばを打ち、そばを切ったのでした。
最初はまったく失敗続き。
「あの新宿の、まずいそば屋」という、奇妙なことで有名になった時期もありました。

けれど、人一倍の研究熱心とねばり強い努力、そして、ひとに愛される人柄の良さで、じわじわと「一茶庵の手打ちそば」のおいしさが作られていきました。
そして、昭和八年(1933年)大森に新しいお店を開いた頃には、「東京大森に一茶庵あり」と言われるほどに話題の店になりました。
多くの文化人にも愛されるようになりました。
こうして、一茶庵は順調に発展しましたが、太平洋戦争の時に、大森の店を失い、埼玉県の熊谷市に難をのがれ、そのまま、戦後の混乱期を熊谷で過すようになってしまいました。

戦後の日本が少し落着いてくると、多くのひとから「名人片倉康雄のそばを食べたい」という声があがり、ついに昭和二十九年(1954年)、縁あって栃木県足利の地に「一茶庵」は開業しました。
そして、現在のJR両毛線の線路近くにあった小さな店に、遠路はるばる東京から、「一茶庵のそば」を食べに来るお客さまも多くなりました。
訪れたのは「そばを食べるひと」ばかりではありませんでした。「一茶庵のそば打ちを学ぶひと」も、次から次へと訪れました。
その中には、「美々卯」の薩摩卯一さん、「家族亭」の永幡泰男さんなどの名前もありました。
こうして、多くのそば打ちの職人さんが、次から次へと足利の一茶庵を訪れるようになり、そば屋さんの業界では、この現象を、「足利詣で」と呼ぶほどでした。

足利の地で、片倉康雄は一茶庵を発展させて、多くのお弟子さんを育て、日本のあちらこちらに「一茶庵の手打ちそば」を広めていきました。
そして彼は昭和二年、文士・高岸拓川から『現代の友蕎子を目指しなさい。』と言われ「友蕎子」と名乗るようになりました。

「一茶庵・友蕎子・片倉康雄」は

伝統的な手打ちそばの世界に、新しく「一茶庵流の手打ちそば」の大きな潮流を確立しました。
そして、さらに「そばの道」をきわめるために、古くは「続日本記」までさかのぼる多くの書物を学び、さらに、蕎麦を打ち、蕎麦を切るための多くの道具も研究し、改良を加えました。
木鉢、麺棒、のし板、包丁に至るまで、独自に開発し、自分の手で作りました。

「一茶庵流手打ちそば」の世界は、「そば文化」の、ひとつの大きな成果かも知れません。
そして現在も創始者片倉康雄の「そば打ちの心」は、二代目の片倉敏雄、三代目片倉庸光、さらには次男片倉崇博、と引き継がれ、足利の本店、一茶庵本店に脈々と生き続けています。

文 コピーライター小野田隆雄
出典:「足利一茶庵本店」創業大正15年の老舗

【一茶庵:江戸蕎麦の伝統を復活させた新系譜】
「一茶庵の創始者は、片倉康雄(友蕎子)」「一茶庵の歴史」「一茶庵の系譜」
「一茶庵・系譜」「一茶庵の物語」
初稿:2018年6月1日
最新更新:2018年11月13日

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